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【蝸牛(かぎゅう)】

 山伏が修行を積んでの帰り道、竹やぶの中でひと寝入りしていると、主命で長寿の薬になるというかたつむりを求めに来た太郎冠者と出くわします。太郎冠者はかたつむりがどんなものか知らないまま、山伏をかたつむりだと思いこみ・・・。

【膏薬煉(こうやくねり)】

 鎌倉の膏薬煉と都の膏薬煉が、相手と膏薬の吸い比べをしようと国を出、途中で出会う。二人は互いに自分の膏薬の系図を自慢し合う。最後に、お互いの鼻に膏薬をつけ、吸い寄せたり、ねじ引・しゃくり引きと、吸い比べた末、都方が勝つ。

【口真似(くちまね)】

 主人から「さる方からお酒を一樽いただいたから酒の相手に誰か招待して来い。」と命ざれた太郎冠者は、酔狂人で有名なのも知らず、下の町の者を案内してしまう。そこでこまった主人は、上手くあしらって帰らせようと太郎冠者に「自分の言う通り、する通りにしなさい。」と命ずるが、太郎冠者はその意味を取り違えてしまい客人(下の町の者)に大変なことをしてしまいます。

【痺痢(しびり)】

 突然のお客を迎えるため主人は太郎冠者に酒の肴を買いに行かせようとします。しかし毎度毎度の使い走りに太郎冠者もほとほと迷惑気味なのです。そこで思いついたのは仮病を使うこと。その病気というのが“痺痢”でありました。ところが主人はこのことを見抜いていたのです。だまされたつもりがだまされて、それでも一生懸命な太郎冠者なのです。さてさてこのだまし合いの結果はというと・・・。

【舎弟(しゃてい)】

 兄にいつも「舎弟」と呼ばれている弟は、ある日思い立って舎弟の意味を教人の所まで出向き、聞きにいきます。ところが教人は弟と兄とを喧嘩させてやろうと「舎弟」=「盗人」のことだと弟に教えてしまいます。これを知った弟は怒り心頭。兄の所へ呶鳴りこみにいきます。

【清水(しみず)】

 茶会が催されるたびに主人に水を汲みに行かされる太郎冠者は迷惑でたまりません。行かずに済む方法はないものか。「清水で鬼に遭遇した」という事実を作ってしまえばよいとひらめいた太郎冠者。しかし主人は、その鬼に会いに行くと言い出し・・・。

【末広がり(すえひろがり)】

 主人は召し使いの太郎冠者に末広がりを都へ買いに行かせます。しかし太郎冠者は末広がりを知らず、水破(詐欺師)に古傘を末広がりだと売りつけられてしまいます。持ち帰った古傘に主人は立腹し、太郎冠者は習った囃し物で主人の機嫌を直そうとしますが・・・。

【太刀奪(たちうばい)】

 主人と一緒にお出かけの太郎冠者。途中、見かけた武士の太刀を主人が欲しがった。安請け合いした太郎冠者が策を練ったが、いざ実行してみれば失敗に終わっただけでなく、主人から借りた脇差も逆に取られはめに。踏んだり蹴ったりの主人と太郎冠者。脇差を取った武士に仕返しをしようと待ち伏せします。果たして主人と太郎冠者は見事仕返しをすることができるのか!?

【千鳥(ちどり)】

 主人は太郎冠者にいつもの酒屋で酒を求めてこいと命じます。そこは主人がツケを溜めているところ。太郎冠者はどうにかして酒を貰おうと一計を案じます。幸い亭主は話し好き。これを知っている太郎冠者は話しをしながら・・・。

【茶壷(ちゃつぼ)】

 栂尾で買い入れた茶を背負ったまま、酔って眠り込んでしまった男。それを見つけた水破は何とかして茶を奪おうとしますが、仲裁に目代がやってきて・・・。茶壷は一体誰の手に渡るのでしょうか。

【名取川(なとりがわ)】

 都で戒壇の地を踏んだ出家は、大寺で希代坊と不肖坊という二つの名前をもらいます。意気揚々と国元へ帰る途中、川にはまって名を流してしまいます。その川の名を聞けば名取川というからさあ大変です。言葉遊びの妙と道行きの節回しが見どころです。

【萩大名(はぎだいみょう)】

 永く左京し、心が屈した大名が遊山に出ようと太郎冠者に相談します。すると太郎冠者は下京辺にあるすばらしい庭園では、宮城野の萩が真盛りであると言います。しかし、そこの亭主は歌好きで会えば歌を詠まされます。歌の苦手な大名はいったいどうするのでしょうか?

【附子(ぶす)】

 主人は太郎冠者、次郎冠者のふたりを留守番に残して出かけてしまいます。でも主人は二人だけでなく、なんと猛毒の“附子”までも残して行ったのです。主人は「近づくな。」と言い残して行きますが、そう言われれば余計に近くに行きたいもの。この二人、おそるおそる近づいてみれば猛毒ならぬ砂糖!二人で無我夢中で食べまくり、とうとう空っぽに・・・。主人への言い訳はというと・・・。

【仏師(ぶっし)】

 持仏堂を建立した田舎者が、本尊を作ってもらうために仏師を探していると、自分は仏師だという者が現れます。実はこの男は水破(詐欺師)で、楊枝一本削ったこともありません。彼は自ら、用意する仏になりすますことに。

【文蔵(ぶんぞう)】

 主人に内緒で行った京内参りの折、太郎冠者は伯父御様の所で食べ物を振舞われます。主人は何をご馳走になったか尋ねます。その料理の名前を忘れたしまった太郎冠者は、主人が常々話している石橋山の合戦物語にその名があると言い出しますが・・・。

【棒縛(ぼうしばり)】

 用事ができて山ひとつ向こうに行くことになりましたが、家をあけると酒好きの太郎冠者と次郎冠者に大事なお酒を盗み飲みされてしまいます。何かいい方法はないものかと、最初に太郎冠者をだまして、次郎冠者を縛りあげ、ついでに後ろから太郎冠者を縛りあげてしまう。これで大丈夫と思ったものの、そこは悪賢い二人のこと、このまま引き下がるものかと知恵を絞って考えた。

【胸突(むねつき)】

 借金をしながら一向に返済する様子がないばかりか、取りたてに行けば居留守を使い、金貸しの悪口を言う男に、意を決した金貸しが取り立てに行きます。そこで小競り合いになり、なんとか借金を踏み倒したい男は「胸を突かれた」とウソをつき・・・。